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カレー雑誌の編集部が、なぜ食品全般の記者発表会に——。そう思われるかもしれない。でも、行ってみて確信した。いま、カレーは食品売り場の外にまで顔を出しはじめている。その定点観測として、20社が一堂に会する発表会に足を運んできた。
2026年7月某日、東京・日本橋で開かれた合同記者発表会「ネタマッチ」。食品・日用品・化粧品メーカーから自治体まで、20の企業・団体が最新の取り組みを一斉に披露する場だ。MCは元テレビ東京「WBS」キャスターの須黒清華さん。あくまでメディアとブランドの取材機会に徹する——という潔いコンセプトの発表会である。
その中から、カレー好きのアンテナに引っかかったトピックを中心にレポートする。

その日、カレーは2回「食品の外」で顔を出した
面白いことに、この日「カレー」は食品ブース以外の場所で二度、まったく別の文脈から登場した。両者に企業的・歴史的なつながりは一切なく、たまたま同じ日に居合わせただけ。それでも、カレーという記号の応用範囲の広がりを感じさせる並びだった。
① 食べないカレー——製薬会社が作った“カレーの入浴剤”

ひとつは、大阪の老舗製薬会社・カイゲンファーマが、スパイスカレームーブメントの震源地とされる名店Columbia8(コロンビアエイト)と組んで生み出した、もみ出し式の薬用入浴剤「改源の湯 華麗(カレー)なる湯けむり」(2026年9月10日発売予定)。カルダモンを中心としたスパイスの香りを、湯船で楽しむという一品だ。ここではカレーが「香りの記号」として、風呂に持ち込まれていました。
この日はまだ試せる商品がなかったので、後日レビューできればと思いますが、香りだけは用意されていたので試してみました。

「蓋を開けて嗅いでみてほしい」と言われるがままに鼻を近づけてみるとカルダモンの爽やかな香りが鼻腔をくすぐり、思わずお腹がなりそうに・・・これを湯船に入れるとどんな体験ができるんだろう。

大阪のスパイスカレーの火付け役でもあるコロンビア8の代表:オギミール☆さんもいらっしゃいました。開発までにいたる面白いお話も聞かせていただいたのですが、新商品を試したあとに記事にまとめさせていただこうと思います。

② 歴史としてのカレー——日本のカレーは軍港から広がった

もうひとつは、旧軍港市振興協議会のブース。横須賀・呉・佐世保・舞鶴という、かつて海軍の拠点(鎮守府)が置かれた4市が、日本遺産の認定10周年を記念して本格連携するという取り組み。
ここでのカレーは、「地域史のナラティブ」として登場する。もともと海軍が脚気予防のために取り入れた洋食が、そのルーツ。明治41年に舞鶴海兵団が発行した『海軍割烹術参考書』には、日本人の口に合うよう改良された100種類超のレシピが収録され、これが全国の家庭料理「カレー」の源流のひとつになったとされる。横須賀は「よこすか海軍カレー」の発祥地、呉は海上自衛隊カレー文化の中心地(市内23店舗)として知られる。いま食べている家庭のカレーが、100年以上前の軍港の食卓とつながっている——そう思うと、一皿の見え方が少し変わってくる。
ちなみに私は母が佐世保出身なので、里帰り出産で佐世保生まれという縁もあり、佐世保はとても好きな街です。そして横須賀にも住んでいたので、自然とカレーの歴史を歩んできたのかもしれません。佐世保で大好きなカレーは「蜂の家」です。実は銀座にもあるのでぜひ(笑)
レトルトカレーも少しずつ味見をさせてもらったのですが、どれも美味しかったです。強いて言えば横須賀のカレーが辛さも決まっててお気に入りでした。
食のトレンド定点観測——キーワードは「工程削減」と「刺激の細分化」

カレーから少し視野を広げると、20社の顔ぶれからは、いまの食卓のリアルが透けて見えた。とくに印象に残ったのが、次の2つの流れだ。
「時短」の次は「工程そのものを消す」
調理の時間を縮めるだけでなく、盛り付け・洗い物・収納といった工程ごと削る——そんな商品が目立った。フライパンと食器を1枚に統合した和平フレイズの「Hetta!(ヘッタ)」、解凍なしで焼ける下味冷凍の理研ビタミン、レンジで完結するあじかんの冷凍スープ。いずれも「作る前」と「食べた後」の手間に照準を合わせている。

背景には、家事に対する気分の変化がありそうだ。和平フレイズの調査(10代以上の男女600名)では、今後の食事について「頑張りすぎず、無理なく自炊したい」と答えた人が48.8%で最多。料理への前向き度は2022年の45.5%から2025年は41.8%へと、2年連続で下降しているという。自炊はするけれど、頑張りたくはない。その本音に、各社の商品設計が寄り添っている。
辛さは「痺れ」「酸味」へと枝分かれ

もうひとつは、辛味の細分化だ。ユウキ食品は、豆板醤の辛みと花椒の痺れを鬼のように効かせた「鬼シビ辛ペースト」(2026年9月1日発売)を投入。同社の調査では、数年前と比べて「シビれる辛さ」をより好むようになった“シビレ派”への移行が約34%にのぼるそうです。

試食もさせていただきましたが、辛さ免疫力トップレベルの私でも「これは一般の人たちはびびるんじゃないですか?」って思わず言ってしまったぐらい辛い!でも、めちゃくちゃ旨味がある。いろんなものにかけたくなるペーストでした。今度カレーにも混ぜ合わせてみて、ご紹介したいところ。

一方で医食同源ドットコムは、累計出荷1,900万個超の人気シリーズ「中華房 麻辣湯」から、あえて辛さのハードルを下げた「黄色のトマト味」を展開。同じ麻辣湯というカテゴリの中で、一方は「鬼級」へ、もう一方は「初めての人向け」へ。市場が拡大期から“分化期”に入った兆しを感じました。

このほか、博多とんこつの人気店・一風堂が渡辺製麺として初めて手がけるカップ麺「白丸元味」や、前回も「イチオシ!うどんたれ まんぞくカレー」が私に大好評だったヤマサ醤油株式会社からは、かけるだけで素材がひきたつ食卓に一本あったら、無敵な旨味だしたっぷりの醤油など、話題の一手も並んだ。


参加20社・団体ひとことメモ
| 企業・団体 | トピック |
|---|---|
| 和平フレイズ | フライパンと食器が1枚に。「Hetta! IH対応お皿パン」 |
| あじかん | 1食220g・食物繊維12.5gの冷凍スープ「RESET SOUP」 |
| ヤマサ醤油 | “つけ・かけ専用”しょうゆ「旨みの一滴 5種の厳選だし」 |
| ケンコーマヨネーズ | 世界を旅するドレッシング。シルタースタイル&チポトレ |
| ユウキ食品 | 辛さの次は“シビレ”。「鬼シビ辛ペースト」 |
| 丸大食品 | 燻製屋シリーズ×料理研究家リュウジ氏コラボ |
| 丸美屋食品 | “香り”が主役の炊き込みシリーズ、ビビンバ風ふりかけも |
| 理研ビタミン | 解凍なしで焼ける下味冷凍「パッとジュッと 豚生姜焼き用」 |
| 医食同源ドットコム | 「中華房 麻辣湯」に辛さ控えめの黄色のトマト味 |
| キング醸造 | 糖質ゼロ・オフを健康価値ブランド「日の出EveryWell」へ |
| SSKフーズ | 放し飼いたまごのマヨネーズ/休日のガツンとにんにくタレッシング |
| 一風堂 | 渡辺製麺から初の一風堂カップ麺「白丸元味」 |
| ウェルネオシュガー | 溶けやすく固まりにくい「ささっと!砂糖」 |
| ダイニチ工業 | バリスタ2名監修のコーヒーメーカー&7段階焙煎機 |
| カイゲンファーマ | Columbia8監修のカレー風味入浴剤「改源の湯 華麗なる湯けむり」 |
| 石澤研究所 | 累計5億枚の「毛穴撫子 お米のマスク」たっぷりBOX |
| 高知県 | 400年続く宴席文化〈おきゃく〉で“集う”価値を再提案 |
| 北海道岩見沢市 | “奇跡の小麦”キタノカオリの地が、次はワインへ |
| 岐阜県山県市 | 水温約15℃の伏流水が生む、酷暑時代の避暑旅 |
| 旧軍港市振興協議会 | 横須賀・呉・佐世保・舞鶴。カレーと肉じゃがの源流をめぐる |
イベントが大盛況すぎて、全部のブースをしっかり見て回ることはできなかったのですが、その中でも気になった商品をピックアップしてご紹介!
株式会社あじかん

アジカンと聞くと、「消してーーー!」とASIAN KUNG-FU GENERATIONが出てきちゃう私ですが、こちらでいただきました、ごぼうたっぷりの具沢山の食べる冷凍スープ「あじかんごぼう RESET SOUP(リセットスープ)」がとても美味しかったです。1食あたり220gで、その中には生鮮ごぼう1.4本分の食物繊維12.5gを含む冷凍スープです。ゴボウも納得が行くカットのために契約農家に栽培していただいているとのこと。

丸美屋
丸美屋さんは柚子と、山椒の炊き込みご飯の素や、カラフルチップ入りのりたまがお披露目。私の娘はのりたまに入っているキャラクターが大好き。「このキャラクターのチップがないと、もはやふりかけではない」と4歳になる娘が喜ぶのに、こちらもいただきました。

石澤研究所
「毛穴撫子 お米のマスク」がダントツで有名すぎる石澤研究所さんは主力商品「毛穴撫子」シリーズを用意してくれていました。大ヒット商品だとは思っていましたが、もう10周年らしいです

ケンコーマヨネーズ株式会社

特別な食材も時間も不要!おうちで手軽に世界旅行気分「世界を旅するドレッシング」を立ち上げ、早速2種のドレッシングが発表されました。玉ねぎの美味しさを存分に味わえるのはドイツの「シルタースタイル」さっぱりした食感で、甘くてハムサンドイッチとかにめちゃくちゃ合いそうです。もう一種はメキシコ「チポトレ」です。メキシコ料理はもちろんですが、そのあとにでもメキシカンサラダなどにも使える万能ドレッシングです。
まとめ

入浴剤の香りとして、地域史のナラティブとして——カレーは食品という枠を軽やかに越えて、いろんな場所に顔を出しはじめている。食のトレンド全体も、「頑張らない自炊」や「刺激の細分化」といった、生活者の本音に根ざした方向へ。カレーという切り口から食の“いま”を眺めると、意外なほど地続きの景色が見えてくる。次に街のどこでカレーに出会えるか、今回のような面白い出会いもあるし、これからも定点観測を続けたい。
ネタマッチは普段直接話せないような企業の方々とじっくり話すことができて、とても楽しいし、このイベントを支える運営スタッフもみんなお祭り気分でハッピを来ていてみんな生き生きとされていました。企業の方々がPRに集中できるのも、彼らの支えあってこそなんだろうなと、余韻に浸りながら文字をしたためましたので、また次回を楽しみに!と締めさせていただきます。
※各商品の情報・発売日は発表時点のものです。最新情報は各社公式サイトをご確認ください。

